公安部情報の流出から見えてくる事 1 [公安情報の流出]
国際テロの捜査資料がネットに流出し、更に11月2日に国内過激派に関するDVDが1枚
所在不明が発覚だそうである。流出文書約114点の多くはPDF形式で大半は19~21年に作成されたものである。次のような項目で早い人は10月28日には手に入れたようだ。
- ・国内外の協力者の氏名電話番号住所経歴
- ・国内外の内通者の氏名電話番号住所経歴
- ・容疑者の氏名電話番号住所経歴
- ・国内のモスクに出入りする人の情報
- ・担当捜査官の氏名
- ・FBIが行ったテロについての研修内容の報告文書
- ・大規模国際テロ事件発生の際の初動捜査の手順
- ・捜査の使用システム、活用方法
- ・潜入捜査の方法(実例付)
- ・データべースからの個人特定方法
- ・捜査研修会の報告書
- ・特定の会議の警備体制の組織系統、利用システムの内容
- ・洞爺湖サミットのテロ情勢分析
- ・国際テロ組織との関連が疑われる人物の情報
- ・在日大使館の口座解析
流出文書の内容を読むとどうやら公安部の外事3課は真面目に働いているようである。と言いたいところだが何か裏があるのではと考えるのは、公安警察に関しては一般的な常識だろう。
自作自演は工作活動の基本中の基本である。しかも警視庁の公安部である。
「秘密主義の公安警察」が組織が大きなダメージを受けるほどの情報を盗まれるはずはないし、なぜかDVDの件では報道陣に進んで取材に応じて不祥事をを公表している。 正義とは無縁の公安が自ら進んで情報公開するのは、さしたる影響のない大した事のない情報である証である。そして別の意図があるかも知れないと考えるのが自然である。
報道で流される一方的な情報をそのまま受け取ると判断を誤るのだが、物事を疑ってかかる私がまず考えたのは、ネット流出事案に関して、本当に公安部がダメージを受けたのか、あの漏洩情報で誰がいちばん得したかである。
「協力者の命が危険にさらされる」ので公安情報は公開ができない。その事を補強するようにイスラム教徒の協力者が「身に危険が及ぶ」と大袈裟にインタビューに答えていたが、
「捜査上の秘密」で「人の命に関わる事」なので全てを公開できないという絶好の口実を国民、報道機関に示した形になり、公安にとってはこれ以上ない理想の結果である。
更には「公安警察はこんなに仕事をしているぞ」と嘘かほんとか知らないが、「仕事ぶり」の資料を示して、強烈なアピールをしたようである。
現在、国内の危険な過激派といえば、打ち上げ花火のようなロケット砲攻撃の革労協とネット上で「テロ」をやってる創価しか思い浮かばないが。DVD紛失は「ネット流出事件のおまけ付」の公安の「広報活動」だろう。
ネット流出もDVDの件も外事3課の不祥事だそうである。海保の尖閣ビデオ流出と時季が重なり、後発の公安がどさくさに紛れて、何か意図的な画策をしたのではないか。
「機密情報の漏洩」はほとんどが内部の関係者だそうである。公安のほうも外事3課周辺の関与が囁かれている。
2001年の同時多発テロを教訓に翌年警視庁公安部外事課に創られた3課だが、国際テロ犯罪に対応するために、イスラム過激派組織に通じる外国人についての 情報収集や、資金ルートの監視などを担当するそうだ。当初は70人体制で、元々1課内には国際テロ捜査班があり40人ほどであたっていたそうである。
発足8年目の外事3課がらみで2つの不祥事が起きたということだ。3年前の個人情報紛失も3課に出向した巡査長だそうである。
機密情報の漏洩という、一見重大なマイナスが、一時的には「お粗末」と国内外から非難を受けるだろうが、実は「組織存続」にとっては願ってもない有利な展開になったようである。「肉を切らしてして骨を断つ」という言葉があるが、公安警察のしたたかな工作活動の真骨頂を発揮した可能性もある。
私の独断と偏見の結論は、国内で起こる筈もないイスラム過激派テロを山車にして、公安部の中でも一番仕事をしているらしい外事3課の仕事ぶりを漏洩することにより、「公安情報の非公開」を確定的な事にするため、「公安が仕事をしている」事を示すため、この二つの事を公安部が組織を挙げて国内向けにアピールしたのではないか。経緯はともかく結果だけ見れば公安部の大勝利だろう。
闇に包まれた秘密組織であり、情報も公開しないことになっている組織なのでああいう形でしか公安に都合のいいように「情報公開」できないのである。まるで中国やロシア並のずる賢さである。
( つづく)
コメント 0